理念を書き出す作業をしたことで、私は自分がやりたいことが明確になったのを感じた。そして、平手醤油の事業として以下の三本柱を立てた。
① おしょうゆコミュニティー
② おしょうゆアカデミー
③ おしょうゆde暮らす
① おしょうゆコミュニティー
みんなで手前醤油を作って、「みんなで食べることは幸せなこと」を実践していこうという活動。一年間かけて世話をしてきたもろみなのだから、搾りたてのお醤油は格別の味わいだ。その喜びとおいしさを共有することで幸せの輪を広げていきたい。個人で醤油づくりをする人たちも巻き込んでいけるようなやり方を考えたい。
② おしょうゆアカデミー
大学を離れても、私は研究者であることに変わりはない。家庭やグループで作る手前醤油がさらにおいしくなるよう研究を重ね、技術向上に励みたい。また、醤油づくりの過程を題材とした理科教材を開発し、麹菌の働きや、発酵食品を生み出した先人の知恵と和食に対する興味を持つきっかけとしてもらいたい。
③ おしょうゆde暮らす
ゆくゆくは麹の製造のみならず、木桶でもろみを仕込み、最高の醤油を作りたい。そして、その作業を何らかの事情で正規の仕事に就けない人々にお手伝いしてもらえるよう組織を整えたい。海外にも販路を広げ、伝統的な木桶仕込みの高級醤油として認知されることを目指す。事業形態としては、就労継続支援の事業所を想定している。