5日目(8/14、火)
フェリーでフライデー・ハーバーへ
ホエールウォッチング
シアトルへ
いつまでも続くかのように思われた旅も今日がついに最終日となりました。今日はフェリーでフライデー・ハーバーに渡り、ホエールウォッチングに参加することになっています。アナコルテス発フライデーハーバー行きのフェリーの時間はは8:45、車をフェリーに乗せず、アナコルテスにおいていったほうが安上がりなので駐車場に車を止めました ($10)。このときすでに時間は8:45で、予定のフェリーに乗船するのを諦めていたのですが、フェリーへの車の積込みが遅れていたおかげでこのフェリーに乗ることができ、ラッキーでした (大人往復 $11.85、5歳以下無料)。
海が穏やかなせいか、船の揺れを感じることもなく、サンファン諸島の島なみを楽しんでいるうちにフライデーハーバーに到着しました。港で、予約していたホエールウォッチングのチェックインを済ませると、集合時間まではまだ2時間半くらいあります。そこで、港からすぐ近くのホエールミュージアムに入ってみることにしました。博物館内には、クジラの骨格標本や、サンファン諸島周辺をすみかとしているキラーホエール(オルカ、シャチのこと)の詳しい解説などがありました。個人的に印象に残ったのは、クジラには骨盤がないということ。ほ乳類なので基本は同じだろうと思っていたのですが、適応の過程で不要だった骨盤は退化してしまったんですね。ちなみに、クジラとカバは共通の祖先から進化したことが分子進化学的な研究から示唆されています。
僕らの参加するホエールウォッチングはSan Juan Excursionsという会社のツア ー で (http://www.watchwhales.com/) 、 97 人 乗 り の オ デ ッ セ イ(Odyssey) という大きな船でのクルーズです (大人$65, 子供 $45; AAA割引あり)。今日の参加者は77人だそうです。どことなくサンタクロースのような船長と、話し好きの人の良さそうなおじさんと、若いナチュラリスト夫婦の4人が77人の相手をしてくれます。
12時50分に集合して1時過ぎに桟橋へと移動し、乗船前の説明を受けた後、いよいよOdysseyに乗り込みます。フェリーに比べれば多少揺れを感じますが、船酔いするほどの激しい揺れは感じません。港を出て、オルカが現れたという報告のあった海域を目指して全速力で進んで行きます。ナチュラリストのお姉さんが地図を片手に今日目指す海域を教えてくれました。彼女の話しによると、最近オルカの報告があった場所はフライデーハーバーから3, 40分のところで、普段よりかなり近いとのこと。ポイントが近いということは、行き帰りにかかる時間が短いってことで、オルカと一緒にいられる時間が長いっていうことです。お姉さんの嬉しそうな表情から、今日はとてもラッキーだということが伝わってきました。
船が速度を落としたことでポイントに到達したことを知りました。多くの人が船首に集まり、目を皿にしてオルカの姿を探しています。遅ればせながら、僕らも船べりに出てオルカを探していると、遥か前方のほうで海面から現れたオルカの姿が見えました。遠かったのですが、垂直に突き出した背びれは疑いようもなくオルカのものでした。船のあちらこちらから歓声が上がるとともに、エンジンの音が響き、船長はオルカとの距離を詰めようと追跡を始めました。オルカは船の進行方向と同じ方向に群れを作って泳いでいました。4頭のオルカの群れで、そのうち1頭は子オルカ (calf) だと、ナチュラリストから説明がありました。僕は、ビデオカメラを構えながら必死にオルカを追いかけました。
遠くに見えるマウント・ベーカーが美しく、船もそろそろ港に戻る頃かなと思っていたその時、それまであまり近くに来てくれなかったオルカがいつの間にか先回りをして、僕らの船とマウント・ベーカーの間に突然姿を現しました。しかも、僕たちの船に向けて悠々と泳いでくるではありませんか。そろそろおしまいかなと、それまでまったりとした空気が流れていた船上がにわかに沸き上がりました。4頭のオルカ達はそんな僕らを尻目に、船の左舷後方から右舷方向へと悠然と泳いで行き、海中へと消えていきました。
4時間のクルーズのうち、ポイントまでの往復の時間を差し引くと、およそ2時間半の間、僕たちはオルカを追いかけていたことになります。ほんの5分間くらいしかオルカを見ることのできないツアーもあるそうですから、2時間半というのはかなり恵まれているのでしょうけれども、本当にあっという間の2時間半でした。
後で調べてみたところ、僕らが遭遇したまさにそのオルカの群れの当日の報告がThe Center for Whale Researchのウェブ上 で公開されていて 、それによると、このとき僕らが追いかけていた4頭のオルカは、この海域に住み着いているオルカではなく、移動生活を送っていて、たまたまこの辺りを通りかかった群れだったようです。
フェリーがアナコルテスの港に着いた時にはすっかり日も暮れて、真っ赤な夕焼けが印象的でした。
長かった旅もこれで本当におしまい。
Fさんファミリーと一緒に回れて楽しかったです。ありがとう!