第1話で書いた、職場の酷い環境と先の見えない閉塞感はなおも続いていた。しかし、2022年の年明け、ついに大学が事態の解消に向けて動きはじめた。大学の名誉のためにもう一度書こう。大学は正しく対応してくれたのだ。新しい施設長がやってきて立て直しが始まった。職場の空気は一変し、職員に笑顔が戻ってきた。しかし、私の仕事は楽にはならなかった。問題職員たちは去っていったが、残された職員のうち、すべての仕事を理解しているのは私一人だけで、私に仕事が集中したからだ。大学は即座に人を雇ってくれたが、職場は麻痺しかねない状況だった。しかし、私の職場は大学の研究の要ともいえる部署だったから、絶対に麻痺させるわけにはいかなかった。重圧を感じながら終電まで仕事をする辛い毎日が続いた。チャーチルの言葉に、「決してへこたれるな。へこたれたら、へこたれたまま頑張れ。」というのがある。まさにそんな毎日だった。

そうやって忙しくしているうちは、どんなに辛くても、余計なことを考えている暇などなかった。しかし、半年が経ち、1年が経つ頃には、みな仕事を覚え、職場は落ち着きを取り戻していった。ありがたいことに、私なんかよりよっぽど有能な教員も入ってきてくれた。へこたれたまま頑張っていた私だが、頑張る動機がなくなってしまった。それと同時に、これまで意識しないでいた辛さがとめどもなく押し寄せてきた。パワハラはなくなったが、やはり私の未来はここにはないと思った。事務仕事も施設管理の仕事もやりがいを感じていたが、この職場にいること自体がもう限界だった。私は大学に他の部署に異動させてほしいとお願いしたが、それは叶わなかった。

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