毎日ひたすら走り続けていた時代はもう既に夢の中の出来事のように感じます。そりゃそうだよね。20年も前なんだから。本当に忘れてしまう前に、自分がどうやって100メートルを走っていたか書いておこうっと。

まずスパイクですが、アンツーカー用には15ミリのピンを、タータン用には8ミリのピンを使っていました。お気に入りだったスパイクは当時流行りはじめたばかりの「Runbird」。黄色で、青いラインが入った軽量スパイクでした。スターティングブロックを左足を前に、右足を半歩引いたところにセットします。集中するために、一度視線を100メートル先のゴールに合わせます。「位置について」の合図で、指を立てて両手を肩幅より少し広めにつき、リラックスして構えます。この時、視線は下を向いています。指先やスタートラインを見ていたかもしれません。

「よーい」の合図でスタートの姿勢をとります。このとき、前足(左足)のヒザは90度に、後ろ足(右足)のヒザは120度くらいの角度になります。上半身の体重を全て指先で支え、両足はリラックスさせてスタブロに乗せます。視線は下のままです。無心で。

1秒半後くらいに銃声が響きます。でも、タイミングを予測して、当てずっぽうで飛び出すことはしませんでした。「パン!」と音がするのと同時に、自分のリズムで一歩めを踏み出します。最初の3歩までは小刻みに、リズミカルに。クラウチングスタートの姿勢のまま、深い前傾姿勢を維持することが大切です。そのためには強い腕の振りが重要になります。

10メートルを過ぎると体が起きてきてゴールラインが視線に入りますが、力んではいけません。スタート命の人たちが先行しているのが見えますが気にしません。ここから60メートル付近までは8割程度の力でリラックスして流すようにします。とにかく力みは禁物です。前傾姿勢を保って、リズミカルに。視線はゴールに。

60メートルを過ぎる当たりでモードを切り替え、アクセルを全開にします。ここが勝負所です。アクセル全開はたぶん十数歩しか続きませんが、周りのランナーが一気に視界から消えていくのが爽快です。アクセル全開の間もリラックスして、それまで刻んでいたリズムを維持することが大切です。だんだん苦しくなってきますが、アゴを上げずにゴールを見つめ、前傾姿勢を維持するよう努めます。

ゴール前10メートルほどからはリラックスして流します。それでも動きがばらついてくるのですが、リズミカルに走ることを心掛けます。最後にフィニッシュを入れます。ゴールは胸の位置で判定されます。可能な限り前に倒れ込みます。イメージどおりにあるいはイメージを超える走りができたときは、タイムを期待しながら待ちます。あの時間も陸上の楽しみの一つです。

今の理論とは違うところも多いでしょうが、これが僕の20年前の走り方です。

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